科挙 vices of bureaucracy 2003 6 24

 昔、中国に、宋という国がありました。
この宋という国が成立するまでは、国内は、大変な混乱状態だったのです。
あらゆる地方において、武人(軍人)が、私兵を集めて、勢力を築き、
武人による政治が台頭し、
武力によって専制的な武断政治が、各地方で行われていたのです。
 その後、この混乱を治め、中国を統一したのが、宋という国でした。
この宋の国においては、誰もが、
軍人による武断政治の弊害に嫌気がし、
徹底的な文治主義の政策をとることになりました。
 各地方に台頭した武人による勢力を押さえるために、
各地方の州の長官には、文民を派遣しました。
こうすることで、武人を政治から徹底的に排除しました。
 このようにして、中央権力を強固にし、
地方権力をひたすら抑止する政策が、
宋という国の統治理念になったのです。
 この結果、中央集権的な官僚国家が形成されたのです。
この中央集権的国家の基礎となったのが、科挙という制度でした。
科挙というのは、官僚というエリートを採用する試験のことです。
 この科挙という制度は、隋の時代に始まった制度ですが、
宋の時代に改革されて、完成したのです。
 この科挙という試験は、非常に難関の試験であったので、
幼少時から猛烈な受験勉強をしないと合格しない試験になったのです。
その結果、この科挙という難関の試験を突破していったのは、
裕福な階層の子弟たちでした。
 こうした科挙という制度によって、武人という支配階級はなくなったのですが、
今度は、官僚が支配階級になってしまったのです。
そして、このような官僚が支配する国家は、
武人が支配した国家の時とは、また違った弊害がでてきたのです。
 この文治主義の行過ぎた結果、官吏の増大と、
その組織の肥大化により、
国家のあらゆるシステムは、硬直化していくことになったのです。
このため、結果的には、国力の低下へつながったのです。
 このように、文治主義の政策に終始した結果、国力の低下を招き、
宋という国は、対外的な軍事力の低下を招くことになったのです。
 そのため、外国勢力の圧力に対して、常に守勢にまわり、
外交政策的には、消極的な政策を取りました。
 この消極的な政策とは、有力な外国勢力に対し、
膨大な銀などの財宝を贈ることでした。
 こうして、有力な外国勢力に対して、財宝を贈ることで、
外国勢力の圧力は、一時的に弱まりました。
 しかしながら、国内では文治主義に終始し、
国外では消極策に終始することで、一応の平和を維持することができましたが、
やがて、破綻していくことになります。
 有力な外国勢力に贈る財宝の増大と、
肥大化していく官僚組織により、
これらの存在は、国家という家に住み着いた、
シロアリのような存在となったのです。
 このため、国家財政の困窮は深刻となり、
対内的にも、対外的にも、国難の状態となりました。
 こうした危機的状況に対して、
国家のシステムの大改革が、必須となったのです。
 この大改革は、一時的には実を結びましたが、
結局は、保守派官僚の巻き返しにより、形骸化しました。
 こうして、国家財政は、さらに悪化し、
地方では、中小自作農が没落していきました。
この結果、国力の低下は、誰の目にも明らかになり、
北方の有力な外国勢力の侵入を許し、宋という国は滅亡したのです。

ここで言う「中小自作農」とは、現代では、中小企業のことでしょうか。
歴史は繰返す。
こういう場合は、政治家の力量が試されますが、現状では、以下の通り、
今の政治家は、アナウンサーという職業をやっています。

アナウンサー announcer 2003 9 19
 アナウンサーとは、用意された原稿を読む人のことである。
しかし、日本の大臣も、アナウンサーである。
 まず、大臣就任あいさつ。
これは、実は、ある程度、官僚が事前に作成して用意してあります。
もちろん、能力ある人は、官僚が用意した「大臣就任あいさつ」は必要ありません。
 次に、談話やコメントも、基本的に、官僚が作成しています。
 さらに、国会答弁。
これも、官僚が、事前に答弁書を作成して用意してあります。
 なぜ、事前に答弁書が作れるかというと、
国会での質問者は、何日も前から、事前にわかっているのです。
 だから、若手官僚が、質問する議員のところへ行って、
事前に質問内容を聞いてくるのです。
 ここは、野党議員も癒着していますので、
質問内容を官僚に教えてくれます。
 そこで、教えてもらった質問内容を省内に持ち帰って、
答弁書を作成するのです。
 よくわかりせんが、課長補佐あたりが、答弁書の原案を書いて、
課長と協議して、最終的には、局長に目を通してもらうのかもしれません。
そして、答弁書が完成したら、大臣に手渡すというシステムです。
 何日か後の国会で、予定された質問を、野党議員が、予定どおり行い、
大臣は、事前に用意された答弁書を読むという芝居です。
できの悪い芝居です。
 大臣、官僚、野党議員、長年に渡る癒着構造です。
たまに、意地悪な野党議員がいて、事前に教えた質問内容と違う質問をする時があります。
こういう時は、大臣は、立ち往生して、後ろに控えている局長に助けを求めるのです。
 また、何かの建物の完成記念式典で、大臣が、よく、あいさつしますが、
このあいさつ文も、官僚が事前に作成したものです。
 極端な話、誰でも大臣はできます。
サラリーマンでも、自営業者でも、できます。
 実は、同じ構造が、地方議会でも、あります。























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